板野の皆さん、こんにちは。
前回は歯周病と思春期との関わりについてお伝えしました。
今日は歯周病になりやすい妊娠・出産期との関わりをお伝えします。
妊娠と歯周病のつながり
妊婦さんのお肌はスベスベで、とてもきれいです。これは妊娠期で女性ホルモンがさかんに分泌されて、かなり増えているからです。
ですが同時にお口の健康にとってはとても気をつけなければならない時期ともいえます。
妊娠してから12~13週の頃になると妊娠初期に比べ、歯周病菌であるプレボテラ・インテルメディアという菌が約5倍にも増加するので、歯肉炎や歯周炎になりやすくなります。
妊娠すると起こるつわりも口内環境を悪化させる要因となっており、歯磨きが十分にできず、唾液量が減ることで自浄作用が低下しているので、プラークコントロールがおろそかになりがちです。
妊娠中は歯周病にもむし歯にもなりやすく、歯科受診についても、かかりつけの歯科医がないと妊婦さんはつい受診せずに過ごしてしまいがちです。
受診時期を逃して症状が悪くなると、歯周病の妊婦さんの場合、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす事がわかってきており、早産や低体重児出産のリスクが約7.5倍にもなるという報告もあるのです。
むし歯菌の母子感染
生まれたばかりのお子さんの口内にはむし歯菌は存在していません。ではどうしてむし歯になるのかといいますと、むし歯菌も歯周病菌も周りの大人が自分の口をつけたお箸で食べ物を与えたり、キスをするなどすることでお子さんに移るのです。
特に、お母さんにむし歯が多い場合は、お子さんも虫歯が多いケースが多くみられます。
では食べ物を与えたり、キスをしたりするといったスキンシップを禁止した方がよいのかと言いますとそうではなく、お母さんをはじめとした周りの大人が口内環境を整え、むし歯の原因である菌を減らし、むし歯にならないように心がけるようにすることが重要なのです。
このようにご自身の健康のためだけでなく、生まれてくるお子さんやご家族のためにも、お母さんのお口の健康はとても大切といえます。
常日ごろからお口の中を清潔に保ち、妊娠前に治療をすませておくことで、お子さんのむし歯を防ぐことは十分可能です。
また妊娠中でも歯周病の治療は可能ですので、お口の中を清潔に保つように心がけながら、4~8カ月の安定期に治療を受けることをお勧めします。