板野の皆さん、こんにちは。
前回は咀嚼障害・嚥下障害についてご紹介いたしました。
今日は味覚障害について、お伝えします。

ヒトを含む哺乳類の舌には味蕾と呼ばれる器官があり、味蕾の中に味を感じる味細胞が存在します。
唾液に溶けた各種物質が味細胞を刺激することにより、甘さ・酸っぱさ・塩辛さ・苦さを感じ取ることができるようになっています。
味刺激に対して舌尖部では甘味に敏感で、舌側縁は酸味に、舌根部は苦味に敏感とされ、塩味は部位による差異は少ないとされています。
味覚が刺激されると、唾液・胃液・膵液などの消化液の分泌が促進され、抗利尿ホルモンやインスリンなどのホルモンの分泌も行われるようになります。

味覚障害
何を食べても味がわからない、料理の味が薄く感じるなどが主な症状です。
味蕾や末梢神経および中枢神経の障害などによって生じ、老化や口腔乾燥症に伴っても味を感じにくくなります。
何も食べていないのに苦みを感じる、食べ物の味が薄く感じる、食事がおいしいと感じなくなるなどは味覚障害の兆候で、知らず知らずのうちに症状が進行していき、気付いた時には症状が進行しているということも少なくありません。

味覚障害の症状のパターン
味覚減退・味覚消失・・・・味の感じ方が鈍くなったり、味を感じなくなったりする
異味(いみ)症・・・・本当は甘いのに、苦く感じるなど、違った味を感じる
自発性異常味覚・・・・何も食べてないのに苦味や渋みを感じる
乖離性味覚障害・・・・特定の味が分からなくなる
悪味症・・・・全ての食べ物がおいしくなく感じる

味覚障害の主な原因
亜鉛不足・・・・味を感じる味蕾という器官は亜鉛によって1か月周期で生まれ変わっています。ですが亜鉛が不足するとこの細胞が生まれ変われなくなるので味覚障害を引き起こす
味蕾の破壊・・・・辛い食事や味が濃い物を食べすぎると、味蕾を刺激性により破壊してしまう
感覚機能の低下・・・・加齢により味蕾の数が減り、感覚器が鈍ってくる
一時的なもの・・・・風邪やウイルスなどによる炎症、舌表面の火傷が原因で味を感じにくくなる
脳の病気・・・・味を感じたりする感覚というのは脳が司っているので、脳出血や脳腫瘍といった病気により、脳にある味覚中枢が機能しなくなると味を感じなくなる
心因性のもの・・・・精神的なストレス、うつ病により舌の表面にある舌苔(ぜったい)が厚くなったり、変色したりするcanstockphoto17383501

味覚障害は亜鉛不足と加齢による感覚機能の低下が原因になることが多いと言われています。
日々の食事に気を配り、亜鉛を摂取することを心掛けることで味覚障害を事前に防ぐようにしましょう。